「NEW YORK アート体験コーディネイション」に参加して 6泊8日という、極めて短い時間だったが、それは1年に匹敵する程の濃い旅だった。 この企画を始めて知ったのは、インターネット上でだった。 原宿で開かれていた僕の個展が終わりに差し掛かる頃で、なんとなく、5月はNYに行こうと僕は思い始めていた。 そんな時、丁度この企画が僕の目に飛び込んできた。 今振り返ってみると、これが僕と美奈子さんのベクトルが点で重なった瞬間だったんだなと思う。 僕がNYを見た時、美奈子さんは日本を見ていた。 この瞬間が無かったら、あの1週間は無かったし、今の僕もいない。 企画書を見る限りでは、不確定な要素が多く、まがいものが乱立するこの世界において、どこまで信頼できるものかの判断が難しかったが、その時の僕はこの企画に対して期待の方が勝っていたので直ぐに申し込みをした。 そしてここから美奈子さんとの熱いメールのやり取りが始まるのだが、「メンタルガイド」と本人が言うように、NYとはどんな所か、NYで作家活動をするとはどういうことなのか、その心構えをここでみっちりと叩き込まれた。 これは美奈子さんも仰るとおり、NYに渡る際の重要なプロセスだったと思う。 そしてこの過程で、美奈子さんの事を少しずつ知るようになり、実は偉大な先輩に指導を受けているんだという自分に気付く。 このレポートを書きながら、そのメールを読み返してみたが、NYから帰ってきた今の方が美奈子さんの言葉をしっかりと理解できていることに驚く。 リーグではドローイングの午前のクラスを3回とペインティングの終日のクラスを1回受けた。 どちらも基本的には裸体のモデルがいて、それをデッサンするというものだったが、驚いた事にどちらのクラスにもモデルに背を向けて全く違う絵を描いている人が必ず数人はいて、なんて自由な所なんだろうと思った。 また、リーグにはクラスが全部で130あり、その中から先生の好みや自分の都合に合わせて自由に選ぶことが出来る。 クラスによっては先生がほとんど顔を出さない、といった所もあるが、そこも含めてリーグなんだと思った。 子供からお年寄りまで、上手い下手は関係なく、皆それぞれ自分の制作に誇りを持って臨んでいる姿がすごく印象的だった。 美奈子さんによるアートコーディネーション体験は、僕にとって最高の宝になった。 NYに行く前に決まっていたのは、半日は必ずガイドの時間をとってくれるということと、美奈子さんのスタジオに招待してもらえる、ということだけだったので、初めは少ないかなと思っていたが、それにはこういった理由があった。 つまり、NYという街は日本に比べて物事の回転するスピードが速いので、リアルタイムで状況が変化していく。 そのため、あまりきっちりと予定を組んでしまうと、突発的に起こるイベント事に対して柔軟に対応できない。 だから大きい所だけ決めておく方がいいという事なのだ。 実際にNYに着いてから想像してなかった事が次々に起こった。 「今からロウアーイーストサイドでご飯どう?」とか、 「今日の深夜ブルックリンで倉庫を改造した会場でバンドやらDJやらを呼んでパーティするんだけど来ない?」だとか、 「明日の夜国連が主催するイベントのオープニングパーティに私の友達ってことで招待できるけどどう?」だとか、 美奈子さんの友人からもたらされる情報やイベントへのお誘いなのだが、基本的に直前に連絡が来るので、この辺りのオプション的なイベントは実際に行って見てからでないと分からない。 そういった意味では、渡航する前に「メンタルガイド」をしてもらっていたので、変にナーバスになることもなく、割と自然に順応することが出来たと思う。 そして今回の旅、この企画の中で最も印象に残ったのが、美奈子さんのスタジオに招待して頂いたことだ。 彼女のスタジオはブルックリンにあるのだが、そこはマンハッタンとはガラッと趣が変わり、巨大な落書きで埋め尽くされた倉庫が立ち並んでいる地区だった。 美奈子さんのスタジオはとても広く、神聖な場所に感じられた。 その空間は彼女の巨大な作品を軽々と飲み込み、また、ゆったりとしていて、僕なんかが言うのは少しこそばゆい感じがするけど、愛に満ちている彼女の心そのものが表れているんだと思った。 美奈子さん曰く、ニューヨークのアーティストは基本的にはスタジオに同業者を入れることはまずないと言う。 企業秘密を知られたくないから、というのがその理由らしいが、それだけシビアな世界であるということなのだと彼女は仰っていた。 それだけに、僕は幸運だったと言えるし、美奈子さんに対して感謝の気持ちで一杯だ。 スタジオでは美奈子さんの歴史をお聞きすることが出来た。 彼女のアーティストとしての歴史もそうだし、一つ一つの作品にまつわる物語など、僕はそのスタジオで、 吉野美奈子という人間を体感させて頂いたんだと思っている。 特に美奈子さんの事を偉大だと感じたのは、その想いを形に表し、そして確実に結果を残している所だ。 5年前に日本を飛び出してから現在まで、僕にお話された以外にも数多く辛い体験をされてきたであろうが、それを乗り越えて、NYのアートシーンの第一線で活躍している日本人がここにいることを僕は誇りに思う。 そしてまた、本来ならば自分自身の事で手一杯であるにも関わらず、日本のアーティストの卵にアートの本場を体験してもらおうと、こういった企画を立ち上げた事にしても本当に凄いと思った。 今回の企画は僕が第1号という事だったが、実際に参加してみて、個人的には最高の体験をさせてもらったと自信を持って言える。 他のツアー企画では絶対に行けないイベントにも参加できたし、何よりも美奈子さんというアーティストと繋がる事ができたのが、アーティストの卵である僕にとって財産になった。 ただ、何が起こるかは本当に行って見なければ分からないし、美奈子さんの言葉を借りれば「その人の持っているもの次第」という事になるので、あとは飛び込む勇気があるかどうかだと思う。 それと僕は英語を挨拶程度しか出来なかったのだが、お陰でもの凄く悔しい思いをした。 アートは言葉を越えるとよく言ったものだが、言葉が通じるに越したことはないわけで、お互いの理解もぐっと深まるというものだ。 最後に、今回この企画を世に出したルピナスの大石さんと、スタジオMの美奈子さんには本当に感謝しています。 特に美奈子さんにはコーディネート費を度外視して多くの時間を割いて頂き、貴重な体験をさせて頂いたと思っています。 感謝の言葉だけでは足りないので、ここで経験したことを活かして、これからの行動で示していきたいと思います。 今回は本当に有難うございました。 石塚智寿 一期生石塚智寿という青年は、 このNY体験企画のオフィシャルデビューに、 彼でなくてはならなかったようなキャラクターで 私はこれをなんの疑いもなく 「宇宙の約束」と呼ぶ。 約束された出会いだった。 最初から最後まで気力と体力の続く限り 私は彼が必要としているできるだけ多くの情報を送り続けた。 「美奈子さんといると自分に足りないものが何なのかわかります」と キャンドルの火の向こうで彼は言った。 「何なの?」とたずねたら 「純粋さだと思う」と彼は応えた。 トモ、君は自分で気づいていないだけで 誰よりも純粋に輝いているよ。 吉野美奈子 http://www.geocities.jp/puru_dig_tomohisa/ 8月末「K.S.GALLERY原宿」にて個展開催予定 「NYアート体験コーディネーション」に関するお問い合わせは ルピナスアートネットワーク 大石まで: info@lupinasartnetwork.com
『はじめまして、MINAKOです。―作品集の考え方―』No.001 『NYの OPEN STUDIO』No.002 『NYの OPEN STUDIO その2』No.003 『ART BASEL in Miami Beach/世界へのアプローチ』No.004 『NYアートの洗礼』No.005 『ニューヨークアートを体験しませんか?』No.006 『NYアート留学体験参加者募集』No.007 『黒姫受賞とNYアート体験一期生』No.008 『NY流お絵描きワークショップ&サマーパーティ in 東京!のご案内』No.009 『2006/12/7 NY直輸入吉野美奈子石彫刻展(12/17~12/23)& 絵画とダンスコラボレーション“つらなり”& 111幻アートスクールワークショップ (12/17~23)in Tokyoのご案内』No.010 『幻の記憶(111アートスクールレポート)』No.011 『生きる場所(吉野美奈子個展公演レポート)』No.012 『夢見る人々に NEVER TOO LATE 』No.013 『アメリカ独立記念日 』No.014 『吉野美奈子制作奮闘ダイアリー』No.015 『「光のアリア」個展報告と「チェルシーのギャラリー」』No.016 『いろんなアートの形(yozgalleryとmottainainy) 』No.017 NYアート体験レポート 『NYアート体験レポート』No.001 石塚智寿 編 『NYアート体験レポート』No.002 よしだみおき 編 『NYアート体験レポート』No.003 加藤健太郎 編 『NYアート体験レポート』No.004 上原和江 編 『NYアート体験レポート』No.005 庄司 純 編 |
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Biography 吉野美奈子 (画家・彫刻家・詩人) ニューヨークを拠点に活動する コンセプチュアル・ビジュアル・アーティスト。 ●吉野美奈子official website ●吉野美奈子blog |
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2001年 渡米。 一貫して「大いなる愛・宇宙的生命のつながり」をテーマに作品を発表。絵画・彫刻ともに作風は、有機的かつ霊的。建築、音楽、舞踊をはじめ様々なアーティストのインスピレーションとなりコラボレーションに参加、その活動はNYタイムズでもとりあげられる。日本、米国をはじめ世界の各地で作品を発表。 2004年6月、米国最古の彫刻協会ナショナル・スカルプチャー・ソサエティーより 「平和のためのシリーズ」にて新人賞奨学金を受賞。 2005年3月、NY国連NGOアースソサエティ表彰式にて、舞踊家佐藤道代ととも に吉野の絵画に基づくアートプレゼンテーション「アース&ヒューマニティ」を発表。地球保護に関わる世界の知識人より喝采をあびる。 2006年黒大理石の代表作「Awaken(目覚め)」通称黒姫により、全米女性作家協会より日本人女性彫刻家として初の名誉賞を受賞。 卓越した技による独自の世界観の徹底した表現と、多方面での活躍に、NYメトロポリタン美術館、国連エクジビション部、全米具象彫刻協会、NYマルボロギャラリー、NYアートマガジン、NY市建設部等より高い推薦状を受けている。 |
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