『NYアート体験レポート』 No.003
加藤健太郎 編

Lupinas Art Network × Studio M共同企画
「NEW YORK アート体験コーディネイション」に参加して


  初めての海外。
一週間という期間。
アートに興味があってこの企画に参加した。
どんなものがニューヨークで待ち構えているのか、
期待と不安で胸を膨らませ、 14時間のフライトを終え颯爽とアメリカの地を踏む僕。
いきなり壁にぶち当たった。
全く言葉が通じない、聞き取れない。完膚無きまでの勉強不足。
解らないことが、どんどんと恐怖に変わっていった。
初日、空港から宿泊場所までの移動のみで終わり たったそれだけで導き出した結論がこれだった。
「アメリカ最悪、早く日本に帰りたい!」
なんだ、それは。
アメリカは、何も悪くない。
このときの「自分が最悪」だった。

2日目は美奈子さんがメトロポリタンを案内してくださった。
まず美術館の大きさに驚いた。
そして膨大な量の美術品をかき集めるアメリカという土地のエネル ギーに。
数々の絵画、彫刻を見ていると自分の閉じていた心が開いていくよう な、 そんな気がした。
そして、開いた心でニューヨークという場所を見ると、 実に魅力溢れる街で、 様々な文化の人たちが住んでいて、すごくいびつな場所だと感じた。 そのいびつさに、とんでもないパワーが満ち溢れていた。
街のど真ん中にでっかい公園を作る。 そんなとんでもないことをやらかす人たち。
メトロポリタン美術館だってそう。
無数の美術品をかき集める節操の無さ。
マクドナルドの飲み物の大きさ。
何もかもがいびつで、 すごい「力」に満ち溢れていた。

4日目からリーグでのクラスが始まった。
初めてリーグを訪ねたとき、 僕は宿を変えるために全ての荷物を持っていった。
案の定警備のおじいさんに不審がられ、僕はあたふたしてしまって挙 動不審に。
その後、ばっちり顔を覚えられた。

ドローイングを1日
ペインティングはどんな材料を使ってもいい、自由に描くクラス。
先生がやってきて、描いた作品について話をするといったものだった。
僕も短い時間だったが話をしてみたのだけど、いかんせん英語が出て こない。
なんとか伝わったが、歯がゆかった。
ドローイングははじめ1分ほどの時間でポーズを変えながら、 モデルを描いていった。
あまりの短さに最初は驚いていたが、徐々に慣れ、 また一つのポーズの時間もどんどん長くなっていったので 最後には落ち着いて描くことができた。
なかなか日本ではモデルを生で描くといった機会がなかったので とても興味深く、時間もすぐさま過ぎていった。

先ほども書いたように、自分自身初めての海外だったので
アートもそうなのだが、街自体に非常に関心を寄せた。

思ったことは、ニューヨークという街はとんでもない。
何がとんでもないかって、 「人がとても親切」だったんです。
道を人に尋ねても、皆最後に笑顔で締める。
それも皆素晴らしい笑顔で締める。
人と人の繋がりを大事にしている。
都会なのになんと人間くさい街なんだろう。
メトロカードが無く現金でバスに乗ろうと思ったらどうやら現金では
だめらしく そのまま無料で乗せてくれた。
ピザが食べたいからお金を恵んでもらえないかととても丁寧に言って
くる人がいて わずかな小銭をあげたら、すごく感謝されて、喜んだ顔で去っていっ た。
ひどく人間くさい街だった。
人と人との繋がりが力になり、その力が表現となって、アートに昇華 していく。
日本だけにいてはわからないことを、この街は教えてくれた。
「大手の旅行会社と組んで企画すればもっと人を呼べるだろうけど、 でもそういうことじゃない。」
美奈子さんがおっしゃられた言葉。
アーティストとして、 人として、 個人個人を大切にしているから言える言葉のように思えた。
だからこそ作られた企画なのだと思う。
僕はこの企画に参加した人の中で、 きっと「一番知識の乏しい人間なのだ」と訳のわからない自信がある。
それでも美奈子さんや、ニューヨークが抱えているアートへの情熱 は、ひしひしと伝わってきた。
自分でも日々感化されていくのがわかった。

「アートが自分の中で何なのか」
その答えはまだ見つかってない。
ニューヨークの旅が終わったとき、 自分にとってそれは終わりでなくて、
アートに対する旅のはじまりが終わっただけなのだと、そう思えた。
一度は負けたニューヨーク。
でも、最後は仲良くなれたような気がする。
そして、言語というコミュニケーションツールの重要性も痛感した。
これが無いと何も始まらない。
人生って勉強だ。

最後に、 大石さん、美奈子さんには多大なご迷惑、ご心配をお掛けし、 そして大変お世話になりました。
自分の人生の中で大きなウェイトを占める貴重な体験をさせていただ きました。
本当にありがとうございました。

加藤健太郎




*NYアート体験コーディネーションの2006年春の受付は終了 しました。
 次回の受付は2006年9月、10月のみとなります。
ご予定の方はお早めに詳細をお問い合わせ、お申し込みください。

「NYアート体験コーディネーション」に関するお問い合わせは
ルピナスアートネットワーク  大石までinfo@lupinasartnetwork.com


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マラソンする人々 機内食です。



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Biography

吉野美奈子 (画家・彫刻家・詩人)
ニューヨークを拠点に活動する
コンセプチュアル・ビジュアル・アーティスト。
吉野美奈子official website
吉野美奈子blog
2001年 渡米。 一貫して「大いなる愛・宇宙的生命のつながり」をテーマに作品を発表。絵画・彫刻ともに作風は、有機的かつ霊的。建築、音楽、舞踊をはじめ様々なアーティストのインスピレーションとなりコラボレーションに参加、その活動はNYタイムズでもとりあげられる。日本、米国をはじめ世界の各地で作品を発表。
2004年6月、米国最古の彫刻協会ナショナル・スカルプチャー・ソサエティーより 「平和のためのシリーズ」にて新人賞奨学金を受賞。
2005年3月、NY国連NGOアースソサエティ表彰式にて、舞踊家佐藤道代ととも に吉野の絵画に基づくアートプレゼンテーション「アース&ヒューマニティ」を発表。地球保護に関わる世界の知識人より喝采をあびる。
2006年黒大理石の代表作「Awaken(目覚め)」通称黒姫により、全米女性作家協会より日本人女性彫刻家として初の名誉賞を受賞。

卓越した技による独自の世界観の徹底した表現と、多方面での活躍に、NYメトロポリタン美術館、国連エクジビション部、全米具象彫刻協会、NYマルボロギャラリー、NYアートマガジン、NY市建設部等より高い推薦状を受けている。




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