『NYアート体験レポート』 No.004
上原和江 編

Lupinas Art Network × Studio M共同企画
「NEW YORK アート体験コーディネイション」に参加して


いま想い描いても、ニューヨークでの日々がライトアップされたお城のようにきらきらと輝いています。
それはまるで、失った幼いころの夏休みにも似ていました。

2006年10月。
わたしは吉野美奈子さんが主催する「アートコーディネーション」の企画に参加しました。

この企画はニューヨークで開催されていて、メニューは主に3つあります。
1つめは、アートスチューデントリーグというアートの学校に体験入学できること、またそのカウンセリングを美奈子さんにしていただけることです。
2つめは、美奈子さんがニューヨークの美術館をガイドしてくださることです。
(これはお好みの美術館ひとつになります。)
3つめは、吉野美奈子さんのスタジオに招待していただけることです。
いづれもニューヨークでアートを体験するのに申し分のないプランです。
わたしは期待と緊張が入り混じった複雑な気持ちでした。
しかし容赦なくときは訪れ、いよいよアートコーディネーションプランが始まります。

まず最初はアートスチューデントリーグの体験入学です。
ここでとても感動したのは、誰でも絵を描けるという懐の深さとその機会を平等に低価格で提供してくれているというところです。
(低価格の実現には、大メセナの存在や寄付金に税金がかからないというバックアップがあります。)
コースも豊富で彫刻やリトグラフのクラスまであります。
また、リーグで働くと授業料を免除されたり、リーグが開催する展覧会にも出品できるので新人のアーティストでも能力のある人にチャンスが与えられます。

リーグでわたしは数年ぶりに絵を描きました。
絵を描くことが楽しくて、苦しくて、でも楽しくて時間はあっというまに過ぎていきます。
時々美奈子さんが教室に来てくださってわたしの絵を見てくれました。
わたしが受講したクラスの中にはライフドローイングがあります。
人物のヌード画は初めてなのですが、これがこんなに面白いとは思いませんでした。
皆真剣にモデルの全体を捉えようとしています。
非常に緊張感のある時間で、毎日のドローイングのクラスがとても楽しみでした。
こんな素晴らしいクラスが日本にもあるといいなぁと思いました。

次は美術館です。
ニューヨークにはさまざまな美術館があります。
その中からガイドしていただく美術館として選んだのはメトロポリタン美術館でした。
ここは訪れるたびに新たな発見と新たなエネルギーを与えてくれるところだと思いました。
美奈子さんはまずロダンの一連の彫刻へ案内してくれました。
時代背景、作家の個性や人生、アートの技術を交えて解説していただきました。
ロダンの作品はいづれもドラマチックというか大胆なポーズで表情もとても豊かです。
なんというんでしょうか、彫刻に感情を感じました。
次に案内していただいたのは、
素晴らしいエキジビジョン
「Cézanne to Picasso: Ambroise Vollard, Patron of the Avant-Garde」です。
このエキジビジョンは画商"Vollard"によって見出された画家たちの作品を集めています。
「これだけの名画が一同に会する機会はない。このエキジビジョンのためにNYに来る価値はある。」
と美奈子さんは言われていました。
それは言い換えると画商"Vollard"の審美眼の凄さにほかなりません。
このエキジビジョンにはボストン美術館が所蔵する
「Where Do We Come From? What Are We? Where Are We Going?」
(「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」)
が展示されています。
見た瞬間に目が絵を捉えてさらに気持ちまでも捉えられていました。
わたしはこの絵から諸行無常とも言うべき儚さといまわのきわに煌くような美しさを感じました。
ゴーギャンはどんな気もちでこの絵を描いたのでしょうか?
アートはけっして平面ではなく、大切なことは目に見えないのかもしれません。
ほかにもすばらしい作品や空間があたりまえのようにそこにあります。
メトロポリタン美術館については、語れば語るほど語りたい言葉が出てきてとめどがありません。
地球にこんなにも美しい空間のある奇跡をただただ感謝するばかりです。

最後に美奈子さんのスタジオにいきました。
わたしは絵の具が点在する雑然とした空間を予想していたのですが、先入観というものは恐ろしいものです。
扉を開けた瞬間にすべてを悟りました。
彼女の生き方や哲学がまるごとそこにあると思いました。
彼女はニューヨークでアートで成功をしているのです。
こんな世界があるんだとわたしは軽いショックを受けました。
それが等身大の吉野美奈子さんでした。
それ以上でもそれ以下でもありません、ただ現実がそこにあります。
わたしはここで洗礼をうけたというか新しい価値観をひとつ頂いたそんな気持ちになりました。
「いいものはいいんだよ。」
美奈子さんの言葉が何度でもよみがえります。

日本に帰って来てもう2ヶ月が経ちました。
いつもの現実がわたしを待っていて単調で地味な毎日を過ごしています。
ふと振り返るとニューヨークという街は本当に存在していたのかと疑いたくなるほど素晴らしい夢のような日々でした。
そんなとき心の中でつぶやきます。
(ありがとう、ニューヨーク、そしてアート。)
すると、いつだって何度だって泣きたくなる様な幸せな気持ちになるのです。


最後になりましたが、吉野美奈子さん、大石さん。
このような素晴らしい企画とチャンスを与えてくれてありがとうございます。
今後とも、よろしくお願いします。


上原和江



「NYアート体験コーディネーション」に関するお問い合わせは
ルピナスアートネットワーク  大石までinfo@lupinasartnetwork.com



NYに行く前のワークショップにて美奈子さんからもらった言葉。ここから旅ははじまった。
美奈子さんおすすめのメキシコ料理。美味しかったです。
美奈子さん。
わたし。

はじめてのMET。すばらしい空間とアートに世界の広さを知りました。

画材屋「BLICK」。種類の豊富さと安さに感動。
いっぱい買いました。 ボタニカルガーデンのガラスアート チムリー展。自然とガラスがマッチしている。
初めてのオペラ。あまりの美しさにこれまた感動。 はじめてのMOMA。凄い作品ばかりで圧倒される。
ブルックリンの夕暮れ。大遅刻で美奈子さんのスタジオへ向かう途中。ごめんなさい。 美奈子さんのスタジオでミニパーティ。皆で持ち寄ったオードブル。

美奈子さん盛り付けのチーズ。かわいい。

美奈子さんのスタジオは美しくて品がありました。幸せでした。食べ物しか写っていませんが。



※バックナンバー↓
MINAKOのNYダイアリー

『はじめまして、MINAKOです。―作品集の考え方―』No.001
『NYの OPEN STUDIO』No.002
『NYの OPEN STUDIO その2』No.003
『ART BASEL in Miami Beach/世界へのアプローチ』No.004
『NYアートの洗礼』No.005
『ニューヨークアートを体験しませんか?』No.006
『NYアート留学体験参加者募集』No.007
『黒姫受賞とNYアート体験一期生』No.008
『NY流お絵描きワークショップ&サマーパーティ in 東京!のご案内』No.009
『2006/12/7 NY直輸入吉野美奈子石彫刻展(12/17~12/23)&
絵画とダンスコラボレーション“つらなり”&
111幻アートスクールワークショップ (12/17~23)in Tokyoのご案内』No.010

『幻の記憶(111アートスクールレポート)』No.011
『生きる場所(吉野美奈子個展公演レポート)』No.012
『夢見る人々に NEVER TOO LATE 』No.013
『アメリカ独立記念日 』No.014
『吉野美奈子制作奮闘ダイアリー』No.015
『「光のアリア」個展報告と「チェルシーのギャラリー」』No.016
『いろんなアートの形(yozgalleryとmottainainy) 』No.017

NYアート体験レポート

『NYアート体験レポート』No.001 石塚智寿 編
『NYアート体験レポート』No.002 よしだみおき 編
『NYアート体験レポート』No.003 加藤健太郎 編
『NYアート体験レポート』No.004 上原和江 編
『NYアート体験レポート』No.005 庄司 純 編




Biography

吉野美奈子 (画家・彫刻家・詩人)
ニューヨークを拠点に活動する
コンセプチュアル・ビジュアル・アーティスト。
吉野美奈子official website
吉野美奈子blog
2001年 渡米。 一貫して「大いなる愛・宇宙的生命のつながり」をテーマに作品を発表。絵画・彫刻ともに作風は、有機的かつ霊的。建築、音楽、舞踊をはじめ様々なアーティストのインスピレーションとなりコラボレーションに参加、その活動はNYタイムズでもとりあげられる。日本、米国をはじめ世界の各地で作品を発表。
2004年6月、米国最古の彫刻協会ナショナル・スカルプチャー・ソサエティーより 「平和のためのシリーズ」にて新人賞奨学金を受賞。
2005年3月、NY国連NGOアースソサエティ表彰式にて、舞踊家佐藤道代ととも に吉野の絵画に基づくアートプレゼンテーション「アース&ヒューマニティ」を発表。地球保護に関わる世界の知識人より喝采をあびる。
2006年黒大理石の代表作「Awaken(目覚め)」通称黒姫により、全米女性作家協会より日本人女性彫刻家として初の名誉賞を受賞。

卓越した技による独自の世界観の徹底した表現と、多方面での活躍に、NYメトロポリタン美術館、国連エクジビション部、全米具象彫刻協会、NYマルボロギャラリー、NYアートマガジン、NY市建設部等より高い推薦状を受けている。




ご意見ご要望など、お気軽にお寄せください。

銀座の画廊ドットコム事務局 担当 羽鳥
白川

株式会社日精ピーアール
東京都千代田区岩本町1-10-5 TMMビル7階
info_web@ginzanogaro.com
tel. 03-5835-2711
fax. 03-5835-2712